頭を打ったときに最も心配なのが、脳やその周囲に出血を起こすことです。もし出血を起こしている場合には、出血の程度によっては早急に手術を行う必要がある場合もあります。

頭痛がどんどん強くなる、嘔吐している、意識がおかしいなどの症状があるときはすぐにMRIの検査で出血がないかを確認する必要がありますので、お早めに受診して下さい。なお、当院では怪我の処置は行っておりませんが、まずはMRIで脳やその周囲の出血がないことを確認し、それから怪我の処置が可能な医療機関にご紹介させていただきます。

「たんこぶ」ができている場合

「たんこぶ」は、皮下出血が溜まってものであり、頭の骨の中に出血しているかとは関係がありません。「たんこぶ」ができている場合は、保冷剤や氷をタオルに巻いて患部を冷やすことで出血を抑えて痛みを和らげることができます。

脳震盪とは?

急性頭を打った衝撃で脳が揺さぶられることで「脳震盪」が起こり、頭痛や嘔吐、ふらふらするなどの症状を認めることがあります。これらの症状がある場合、出血が起こったことによる症状かの判断には画像検査が必要になりますので、早急に検査を受けることをお勧めします。もし脳震盪であった場合、症状は数日〜数週間に及ぶこともあります。

頭部打撲後に注意すること

もし、頭を打った後に画像検査を行い、その時点で明らかな出血がないことが確認された場合も、頭を打ってから24時間は注意が必要です。稀に、画像検査の時点では画像にうつらない程度の出血があり、その後に徐々に出血が溜まってきて状態が急変することがあります。以下のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診して下さい。

・意識が悪くなってきた

・頭痛が強くなってきた

・嘔吐が出現したり、吐き気が強くなってきた

・手足の動きが悪くなったり、しびれが出現した

・けいれんが起こった

・耳や鼻から血液や液体が出てきた

もしこれらの症状が出現したときが夜間や休日であった場合は、急いで救急病院を受診して下さい

慢性硬膜下血腫とは?

頭を打った後に、脳と頭蓋骨の間にゆっくりと出血が溜まり、脳を圧迫してくることがあり、これを「慢性硬膜下血腫」と言います。高齢の方に多く、頭を打った後にゆっくり出血が溜まるため、外傷から2週間〜3ヶ月経過した頃に起こります。もし、外傷から数週間経ってから以下の症状が出現した場合には、再度MRIによる検査が必要です。

・なんとなく様子がおかしい

・頭全体に重たい感じや痛みがある

・つじつまのあわないことを言う

・だんだん半身の手足の動きが悪くなる

MRIで慢性硬膜下血腫を認めた場合は、手術によって溜まった出血を取り除く治療が必要となることがあり、その際は手術が可能な医療機関を紹介させていただきます。