「視界がぐるぐる回る」「ふわふわした感じがする」など、めまい・ふらつきの症状は人それぞれ違う症状を訴えることが多く、原因も多岐にわたります。中には、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)や脳腫瘍など、脳が原因の危険な病気の場合があります。特に「ふわふわした感じ」の「浮動性めまい」は脳の病気で起こりやすいと言われており、早急に検査をすることが勧められます。
問診や画像検査を行い、めまい・ふらつきの原因が脳の病気ではないかを適切に判断することが重要になります。内耳(三半規管や耳石器など)が原因で起こっているめまいでは、耳鼻科に紹介してより詳細な検査・治療を行っていただく場合があります。
起立性低血圧
首や急に頭を起こした際や立ち上がった際に、一時的に脳に行く血流が不足してめまいやふらつきが起こることがあります。貧血や甲状腺ホルモンの異常などが原因となることもあり、血液検査でそれらがないかを調べることができます。水分・塩分の適切な摂取、ゆっくりとした動作、弾性ストッキングの着用などで症状を予防することが重要です。
良性発作性頭位めまい症
急性のめまいの原因として最も多く、頭を特定の向きにした際にめまいが生じます。内耳の耳石器にある「耳石」が三半規管に入り込むことで起こります。耳石はいずれ溶けますが、それまでめまいはなくなりません。薬で症状を軽減したり、体操で耳石を積極的に三半規管から追い出すことで症状が改善することがあります。①体全体で大きく左右に寝返りを打つ、②仰向けに寝た状態から上半身だけを起こし、また仰向けに寝る、③椅子に座り、背中を曲げて床を見る姿勢と背中を伸ばして天井を見る姿勢を繰り返す、などの運動をゆっくりと繰り返すことが効果的です。
メニエール病
回転性の激しいめまいを繰り返し、難聴や耳鳴りを伴うのが特徴です。ストレスや睡眠不足がもたらす耳内のリンパ液の過剰が原因となり、完治は難しく、難病とされています。症状を緩和する内服薬の処方などで治療を行います。
前庭神経炎
内耳の「前庭」という部位に炎症が起こり、突然激しいめまいが起こります。症状が突然起こる頭痛が特徴で、「バットで頭を殴られたような痛み」と表現されます。ウイルス感染などが原因と考えられていますが、詳しい原因は不明です。安静や薬物療法で治療を行い、ステロイド薬を処方する場合もあります。
脳卒中(脳梗塞・脳出血等)
「小脳」や「脳幹」と呼ばれる部位に脳梗塞・脳出血が起こると、めまいが起こることがあります。その他に、吐き気や手足の動きが悪くなる、などの症状を伴う場合もあります。脳梗塞・脳出血の部位や大きさによっては命に関わることもあり、入院の上での治療が必要となることがほとんどです。
脳腫瘍
「聴神経」という神経に腫瘍ができたり、それ以外の部位にできた脳腫瘍が「小脳」や「脳幹」を圧迫することでめまいが生じます。難聴などの症状を伴う場合もあります。腫瘍がないか、画像検査を行うことが重要です。
頸性めまい
首の筋肉の緊張や頸椎の異常でめまいが起こる場合があります。首を動かした際にめまいが起こることが多く、頭痛・ふらつきなどを伴うこともあります。めまいの症状を緩和する薬や筋肉の緊張を軽減する薬で治療を行います。
加齢によるめまい
加齢により内耳の機能や平衡感覚が衰えてくるとめまいが起こりやすくなります。また、自律神経の機能も衰えるため、血圧の調節がうまくいかなくなることもめまいの症状を引き起こしている場合があります。
その他
その他にも様々なめまい・ふらつきがあり、問診や診察に加え、必要に応じて血液検査や画像検査を行いながら原因を探していきます。